ITとは、「Infomation Technology(インフォメーション・テクノロジー)」の略で、日本語では「情報技術」と訳します。コンピュータ・通信の工学およびその社会的応用分野の技術の総称で、金融や卸売り業界を始めとする全ての分野において、欠かせない技術となっています。しかし現在「IT」に明確な定義は無く、特にネットワークを使った技術を表すことが多くあります。情報の収集・加工・保存・管理・共有を行うための技術だと捉えておけば良いでしょう。
IT業界は、現在もっとも変化のスピードが速い業界の1つです。2000年のネットバブルの崩壊からだいぶ経ちますが、IT神話が崩れた現在、生き残ってる企業がまさにIT業界の勝ち組といえるでしょう。一口にIT業界といっても様々な分野があります。小さな業界がいくつか集まってできているのがIT業界です。ここでは、そのIT業界について説明します。IT業界は、他の業界に比べると少し特殊な業界だと言えます。あらゆる業界・あらゆる分野でなによりも密接に他の業界と関るのが「IT業界」です。様々な業界のシステムには「IT」の技術が組み込まれています。そういった点で最も応用的で柔軟な業界だとも言えるでしょう。IT業界の中には大きく分けて4つの業界があります。
①インターネット業界
②ハードウェア業界
③ソフトウェア業界
④通信・プロバイダ業界
次からこれらの業界について1つずつ説明していきます。
IT業界の代表とも言うべき存在なのがこの「インターネット業界」です。インターネットサービスが日本で始まったのが1992年ですが、それから15年足らずでインターネットはいまや人々の生活にとって無くてはならないものになっています。2000年のネットバブルの崩壊で一時期落ち込みを見せましたが、その分現在ではサービスの質のよい、すぐれたビジネスモデルを持つ企業だけが生き残り、また注目を集めつつあります。
インターネット業界のビジネスモデルは大きく分けると「企業向け商取引(BtoB)」と「一般個人向け商取引(BtoC)」の2つになります。インターネットサービスが普及し始めた当初は、WEBページの製作やインターネット広告、ネットワーク構築を行う「企業向け商取引(BtoB)」が主流でした。しかし、現在ではオンラインショッピング、ポータルサイトの運営、ブログなどの個人情報発信WEBサイトの作成支援、通信インフラの整備などを行う「一般個人向け商取引(BtoC)」が主流となっています。
これは企業のIT整備が進み、インターネットサービス企業がメインとなる顧客を一般消費者に移項させたからです。また、インターネットのインフラ整備が進み、自由にインターネットを使える人口が増加したことも理由に挙げられます。今後もこの流れは変わらず、「一般個人向け商取引(BtoC)」がインターネット業界のビジネスモデルの主流となるでしょう。
インターネットを行うのに必要なパソコンや携帯電話。それを取り扱っているのが「ハードウェア業界」です。パソコンを始めとするコンピュータを構成している電子回路や周辺機器をハードウェアと言います。インターネットなどの情報通信を活用する上で欠かせないのがこのハードウェアです。以前はインターネットと言えば、パソコンで行うものと決まっていましたが、現在では携帯電話、各種ゲーム機、などでもインターネットが可能です。加えて「情報家電」と呼ばれるネットワークに繋がった「冷蔵庫」や「エアコン」などの家電も登場してきました。これにより、ハードウェア業界の幅はさらに広がってきました。
ハードウェアのネットワーク化によって、一般消費者は自由にハードウェアを選べるようになりました。様々な種類の機能・性能・色・形を備えたハードウェアが出回るようになったからです。以前はパソコンは金融業界で主に使用され、大量のデータを迅速に正確に処理するためのツールでした。その際に最も重要視されていたのが性能です。しかし、一般消費者が自由に色や形など性能以外のデザインでもハードウェアを選ぶようになったことで、新たなニーズが生まれました。人々はもはや、性能がいいだの製品には飛びつかなくなったのです。今後ハードウェアのデザイン競争は激化します。性能をできるだけ高めつつ、わがままな消費者のニーズにあったデザインのハードウェアを構築することが今後のハードウェア業界の命題となるでしょう。技術開発だけでなく、マーケティング力や市場ニーズ分析力も重要のなります。
便利なパソコンもハードウェアだけではただの箱です。その箱に様々なソフトウェアを入れて初めてハードウェアはパソコンとして機能します。ここではパソコンを便利に使いこなすためのソフトウェアを扱う「ソフトウェア業界」について説明します。「ソフトウェア」は大きく分けて2種類に分類されます。Windows、LINAX、Macなどに代表されるオペレーティングシステム(OS)と呼ばれる「基本ソフトウェア」。もう1つはWordなどのワープロソフト、Excelなどの表計算ソフトに代表される「アプリケーションソフト」です。2000年のネットバブル崩壊に伴って、ソフトウェア業界はインターネット業界と共に不況のあおりを受けてきましたが、企業のIT整備が再び進められたことにより、2003年には国内におけるパソコンパッケージソフトウェア市場は回復を見せ始めました。
また、インターネットウィルスの存在が人々に認知されてきたのも市場回復の理由に挙げられます。ブロードバンドが整備され、ネットワークに常時接続する環境を持つ人口が増加しました。それに伴いウイルスや不正アクセスなどの被害もまた増加しました。その結果、ウィルス対策への関心が企業・一般消費者問わず高まり、セキュリティソフトの需要が上がったのです。今後ソフトウェア業界はさらに拡大すると予想されます。景気の回復に伴い企業のIT整備・IT投資額の増加、ブロードバンドの大容量化・低価格化によりインターネット人口の増加が期待されます。それにより様々なソフトウェアのニーズが増加すると見込まれています。
「ハードウェア業界」で製造されたパソコンに「ソフトウェア業界」で取り扱うソフトをインストールし「インターネット業界」が運営するインターネットサービスを利用したい。しかし、これだけではまだインターネットはできません。そこでネットワーク環境のインフラ整備を行うのがこの「通信・プロバイダ業界」です。
全ての情報通信サービスの要になっているのがこの「通信・プロバイダ業界」です。通信サービスを提供する企業を通信事業者と呼びます。通信事業者は二種類に分類され、「第一種通信事業者」と「第二種通信事業者」に別れます。「第一種通信事業者」は自社で通信設備を持ち、サービスの提供まで一環して行います。NTT、KDDI、SOFTBANK、その他ケーブルテレビ事業者が「第一種通信事業者」にあたります。「第二種通信事業者」は自社で通信設備を所有せず、「第一種通信事業者」から通信設備を借りてサービスを提供する会社です。各種インターネット接続サービスを提供するプロバイダなどがこれに当たります。
かつて通信事業はNTTの独占状態にありました、しかし「第二種通信事業者」の増加や2001年のSOFTBANK通信事業参入によりNTTの独占は崩れ、通信・プロバイダ料金の低価格競争が始まりました。そのような激化競争の中で通信事業者が生き残るには、低価格だけでなく、サービス品質の向上や付加価値をつけるなどのプラスαが必要になります。そこで各プロバイダはポータルサイトの構築や大容量回線サービスを導入し、顧客をさらに自社サービスに囲い込む方針を採っています。